当ページは2022年3月24日(木)に開催した第1回Daitronオリジナル技術ウェビナーの内容をべースとして掲載しています。
QPM:Quantitative Phase Microscopy(定量位相顕微鏡)
定量位相顕微鏡は、光の「波」としての性質を利用して、細胞の形態を高精度に測定するための顕微鏡です。
「出典:浜松ホトニクス株式会社」approval date : Mar 18th,2022
光干渉法とよばれる顕微鏡技術の一つで、「光の遅れの量」をQPM、遅れの定量値をマッピングして3D画像にする手法とお考えください。光には、「粒子」としての性質と「波」としての性質の両方があります。QPMは、光の「波」としての性質を利用して、対象物に反射した光は、対象物の形状を反映して遅れを生じます。これを光の干渉といい、複数の波の重ね合わせによって新しい波形ができることです。同じ波源から出た波や、同じもしくは近い周波数 を持つ波のとき干渉が顕著に現れます 。同じ波長を持つ波の重なり合いの場合、山と山、或いは谷と谷が一致するように2つの波が重なり合うと、山の高さが2倍、或いは谷の深さが2倍の波になります。また、山と谷が一致するように2つの波が重なり合うと、波の高さはゼロになります。この光干渉法と呼ばれる方法を顕微鏡に応用することで、この光の遅れの量を定量的に画像化することができナノレベルの凹凸情報を非接触で高速高精度に測定できます。
対物レンズが二つ配置されており、特定波長の光はビームスプリッタにより分割され白色光源の光は図のように、ビームスプリッタにより分割され、測定サンプル表面と参照面表面に照射されます。それぞれの反射光はCMOSカメラ表面で結像されます。このとき、サンプルのある測定点で二つの反射光に位相差がなければ、最も明るくなり、半波長ずれていると最も暗くなります。この明暗をサンプル測定視野で観察すると反射ミラーまでの光路長は一定なので、サンプルの凹凸に応じて、干渉縞が形成されることになります。
QPMでは、単色LEDを用いて、測定面全体の干渉画像(干渉強度情報)を取得します。1枚の干渉画像だけでは、位相情報(高さ情報)が取得できないため、参照ミラーを既知の移動量でシフトして、複数枚の干渉画像を取得する方法を採用しています。撮像した複数枚の干渉縞から、収差、背景補正をした独自アルゴリズムによって定量位相画像を生成しています。QPMは、位相シフト機構、光学調整機構、光源、制御回路を統合したモジュールとなっております。
ここでは、私たち「電子業界」でSEMに近い領域の観察で商品化されている顕微鏡装置の「分解能」を比べて、その違い・差でマッピングしてみました。 ・高視野測定であること、対物レンズの倍率によらず、垂直分解能は0.5 nmあります。 ・3次元測定:QPM画像には高さ情報がありますので、3次元測定が可能です。 ・前処理不要:真空チャンパやコーティングが不要。 ・QPMは一般環境で観察可能、モジュール化されているので、インライン対応が容易、さらに低コストでもあります。 ・レンズ倍率は1~50倍が対応可能(サンプルの表面粗さは、おおよそRa0.8以下まで測定可能)。 ・測定レンジは、焦点深度の2倍以内。 ・サンプルの表面粗さは、おおよそRa0.8以下まで測定可能。
ここでは、同じ業界で商品化されている手法を並べて、「検査装置化」についての向き・不向きをベースに比較してみました。・水平分解能は対物レンズに依存しますので、〇としていますが、倍率に関わらず垂直分解能は高いです。但し、Z方向の測定レンジとしては被写界深度内となります。ここが欠点となります。・測定時間としては、最短で50msecが可能です。 【白色干渉法】白色干渉法では、ハロゲンランプや白色LEDなどの比較的広帯域の低コヒーレンス光源を用いて、測定面の干渉縞の干渉強度が最大になる位置を取得し、Z方向に操作して物体の三次元形状を計測します。 測定面に対応する干渉強度が最大になる位置をZ方向につなぎ合わせることで、3次元計測ができます。 ※特長:広視野、垂直分解能1nm、Zレンジが広い(スキャンするため) ※欠点:Zスキャンするため測定時間が比較的長い【QPM(位相シフト法)】QPMでは、単色LEDを用いて、測定面全体の干渉画像(干渉強度情報)を取得します。1枚の干渉画像だけでは、位相情報(高さ情報)が取得できないため、3枚以上の干渉画像を取得します。 当社では参照ミラーを既知の移動量でシフトして、4枚の干渉画像を取得する方法を採用しています。
・メカ的なシャッターを使用することなく、定量位相撮像と明視野撮像の切り替えが可能 ・高速位相シフト機構により、リアルタイムで最大50fpsの定量位相画像を出力可能 (カメラフレームレートが200fpsの場合、測定時間:最短50ms ・位相解析技術は、4点位相シフト法を用いており、独自の技術により、振動影響をキャンセルし、繰り返し精度の高い撮像が可能。その為、高速撮像により振動の影響を受ける前に撮像できるため、除振台が不要。 ・OEMモジュール提供によるインライン化対応とトータルコストの低減に寄与 ・QPM画像以外にも干渉強度画像、位相コントラスト画像、DIC画像、平坦領域画像)を構築することが可能
QPM用のハード/ソフトをモジュール化設計したことにより、検査機(DAVIシリーズ)に容易に組み込みが可能となりました。中央の画像が、実際にDAVIー1200に組み込んだものとなります。QPM撮像で得られた欠陥を、ルールベースやAI画像処理に受け渡し、自動検査を可能としました。特にAI検査においては、画像処理アルゴリズムの作成の簡易化やモード判別が可能となります。
【図左側】明視野では微細欠陥は検知不可【図中央】微細欠陥を定量的に測定可能/観察エリア全域の観察が可能 QPM:定量位相撮像により高感度にナノレベル欠陥を検知できるため、検査の自動化が可能となりました。
自動検査機へのシステム化ができる点です。検査機への製品の自動ハンドリング⇒通常の明視野撮像、QPM撮像が切り替えで可能。その後、ルールベース画像処理やAI検査が可能です。これらの検査に対して、判定処理、LOG収集が行えます。その後の分類収納も可能です。撮像はできる、AI判定はできるといった断片的なユニットは、市場に多く存在しますが、トータルとしてシステム化されている製品は希少価値があると自負しております。
検査処理能力の向上1. QPM定量位相撮像の高速化(50msec➡数msecオーダー)2. AFの高速化、リアルタイム・フォーカス化が可能 (500msec➡数msec)3. 広視野化
上記1~3の課題については、解決に向けて取り組んでまいります。
高機能外観検査システム DAVI-1200
ダイトロン株式会社
高機能自動外観(チップ6面)検査装置 DAVI-6000
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