DAL Pulse Engine 超短パルス・大電流駆動技術を使った測定技術 < Q&A形式 >
- 高速・高出力LDの性能を可視化
- パルス駆動とは?
- なぜパルス測定?
- なぜ超短パルス駆動で高出力?
- 想定するアプリケーションは?
- 具体化したアプリケーションは?
- 技術の独自性は?
- 開発で苦労した点は?
- サンプルテスト環境は?
- 次の開発テーマは?
- DAL Pulse Engine の強みは?
高速・高出力LDの性能を可視化
当ページは2022年3月30日(水)に開催した第2回Daitronオリジナル技術ウェビナーの内容をべースとして掲載しています。
パルス駆動とは?
Qパルス駆動とはどのようなものなのでしょうか?

一般的にパルス波形とは、波の振幅が最大・最小と周期的に変化する波のことを指します。 波の形状にも様々あり、Sin波や三角波のような波形もありますが、ここでのパルス波形とは図の下部のような矩形波となります。一般的に、LD検査で用いられるパルス駆動は短時間だけレーザーに矩形エネルギーを加える駆動方式を指します。

LDのパルス駆動のなかでもONの時間をあらわすパルス幅が非常に短いパルスとなります。弊社技術ではパルス幅と呼ばれるものが1µsec、さらに短い50nsecといった超短パルスの通電が可能となります。さらに、短パルス状態で30A以上の電流を印加測定することが可能です。
なぜパルス測定?
Qなぜパルス測定なのでしょうか?

通常LDデバイスはパッケージ化されており、放熱性能も高いため CWといった連続通電でも使用可能なものが一般的です。 製造する過程ではチップやバーのデバイスとなるため、デバイス自体の熱容量が低い状態です。 こういったデバイスは印加するエネルギーに対し熱エネルギーの排熱が追いつかず、光出力が低下してしまうということが発生します。そのためチップ等のデバイスの試験にはパルス駆動で測定されることが通常となります。

こちらのグラフは理想的なデバイスの電流と光出力を表したものです。このグラフの緑線のようなCWで通電した場合、熱により光出力が低下し、高電流側の特性が熱の影響を受け下がってくる結果となります。しかし、パルス通電であれば瞬間的な駆動のため理想発光に近い光出力を計測することができます。これによって光デバイスそのものの性能が測定できるようになります。
なぜ超短パルス駆動で高出力?
Qなぜ超短パルス駆動で高出力なのでしょうか?
- 高出力の発光デバイスが増加
- パルス駆動が前提となりました
- その状態での測定の実現が必要とされている
なぜパルス駆動が必要なのかという点ですが、1点目としてデバイス自身が高出力になってきているという点です。また、2点目としてデバイス自体がパルスで動かすことが前提とされているデバイスです。こういったデバイスは実環境に極力近い形での特性評価をする必要がありますので、超短パルスで高出力に計測できるシステムが必要となります。
想定するアプリケーションは?
Q想定するアプリケーションはどんなものですか?

こういったパルスで使うことを前提としているデバイスのアプリケーションとしては、自動運転などへの応用が期待されているLiDAR用のデバイスやスマートフォンなどで使用されている顔認証用のセンサ用デバイスです。その中でも特にLiDAR用途は高出力かつ高速でレーザーを駆動しTOFという技術で距離を測るものですので、高出力と短パルス計測という点で、最も向いている アプリケーションのデバイスであると想定しています。
■ヘッドマウントディスプレイ用LD測定
■ヘッドアップディスプレイ用LD測定(LD走査型)
■網膜プロジェクション系RGBの安全低出力LD(EyeSAFE)
■高輝度プロジェクター用RGB出力駆動
高出力ではありませんが、ヘッドマウントディスプレイやヘッドアップディスプレイ、プロジェクション系といった表示用のデバイスも想定しています。これらのデバイスは光が人の目に入るため、非常に短い時間の発光、すなわち短パルスでの使用を想定しているデバイスとなります。このように低出力でも短パルス計測が必要なデバイスもアプリケーションとして想定しています。
具体化したアプリケーションは?
Q具体化したアプリケーションはありますか?

弊社ではデバイスの用途に応じて5種類のパルスドライバをラインナップしております。性能としては、ドライバにもよりますが電流値が1uA~60A、パルスの幅としては15n程度のLD駆動が可能となっております。例えば、LiDAR用途のドライバとしては④High Power Pulse Driverとなります。
技術の独自性は?
Q技術に独自性はありますか?

パルスは周波数信号のため波形伝送が難しく、図のような一般的なパルスのようにパルスON時の立ちあがり部が遅くなってしまうことがあります。このようになると、なまった部分はエネルギーが掛かっていない状態となりますので、正確にデバイスを駆動していることにはなりません。DAL Pulse Engineではより理想に近い矩形波形で、デバイスにドライブできるという点が特長となります。

印加だけではなく、パルス状態の電流値、電圧値、光出力をサンプルホールドし、ダイレクトに計測できるという点が特長となります。これによりパルス駆動状態におけるデバイスの実データ測定が可能となります。また、この計測は弊社独自回路で印加測定を行っております。さらに、オシロスコープ等で測定したデータに対して校正できますので、トレーサビリティが取れた計測が可能となります。
開発で苦労した点は?
Q矩形波形の形状を維持する技術

パルスを駆動可能な回路は数多く市販されています。ただ、ソケットや治具、装置といった組み込みをしていくと波形が崩れてしまうことがあります。崩れた波形で測定している場合、正確な測定ができなくなります。また最悪の場合デバイスが壊れてしまうような印加になる場合もあります。DAL Pulse Engineでは パルス波形の理想的なの形状をできるだけ維持し、デバイスまでドライブを可能にするところが苦労した点です。
Q計測ソリューションの開発


実際の通電波形をご紹介します。図解している画像は実施のLDデバイスに印加した際の電流波形となります。左が50nsecパルスで右が1µsecのパルス波形となります。いずれのパルス波形もON波形の平坦部があるフラットトップを有し、パルスの立上り、立下りとなるTf/Tfも十分な速度で動作しております。これによりデバイスに適切なエネルギーを印加することができ、デバイスの実力を測定できる波形となっております。
Q安定して計測する回路技術

次に苦労した点は、印加した高速パルスを安定して計測する回路の実現です。(パルス形状の電流、電圧、光波形の計測)このグラフはDAL Pulse 計測システムで連続的に印加電流を変化させたときに測定したLDの電圧データです。赤い線が弊社システムで測定したデータで、青い点がオシロスコープで測定したポイントの抜き取りデータとなります。オシロスコープは校正されておりますので、近似値になりますが、1回の測定に非常に時間がかかります。しかし、弊社システムを使用した場合、高速で連続したパルスデータを取得できます。さらに、オシロスコープとの値のずれもなくデバイスの特性を計測可能です。

技術的な課題のクリアにより正確なパルス印加と、パルス計測を組み合わせることで細かく連続的に測定することが可能になりました。さらに図のような微小な領域の変化をとらえることができるようになります。 今回はIL測定がメインとなっておりますが、他の光学系を組み合わせた波長測定であるとか、FFP/NFPといった光学特性のパルス計測もご提供可能です。
Qパルスドライブ性能の向上(電流・電圧の高出力化)
GaN Systems Inc.製
高電圧GaN FET(窒化ガリウムパワートランジスタ)採用
短パルス高出力化を実現していく際に性能が出せるICの調査・選定に時間がかかりました。性能が満足できるICが中々見つからない状況でしたが、可能性のありそうなICを弊社電子デバイス営業部の取扱いメーカーということもあり、技術的サポートやデバイス確保等の協力もありスムーズに開発することができました。
サンプルテスト環境は?
Qサンプルテスト環境はありますか?

同一の計測系で、異なるデバイスを測定比較可能なところが 弊社DAL Pulse システムの特長となります。サンプル測定環境も整備しておりますので、ご興味のある方は下記のお問い合わせフォームからご連絡をいただければ幸いです。
次の開発テーマは?
Q次の開発テーマは何ですか?
現状検討中の次期開発テーマは下記の3点となります。
- 電流や光出力の高出力化/計測可能なパルス幅の最小化
- 様々なデバイス形状や性能のデバイスを駆動、多チャンネル化で計測できるような装置の提供パルス駆動が前提となりました
- 可変パルス計測や単位時間エネルギー特性といった従来とは異なった新しい検査ソリューションの開発その状態での測定の実現が必要とされている
1点目はデバイスの高出力化に伴い、電流や測定光量の高出力化を進めております。また、印加計測可能なパルス幅のできるだけ最小化することも平行して実施しております。
2点目は印加可能なデバイスの多様化です。 CANパッケージだけでなく、モジュール、COSパッケージ、チップ、バーといった様々なデバイスに対し印加計測が可能な計測ソリューション開発を進めております。また、今回ご紹介したテスターのような1ch装置だけでなく、多chに通電するエージング装置の開発も進めております。
3点目はパルスの条件を変更した可変パルスによる試験の有効性や従来とは異なった試験ソリューションの開発提案も進めております。
DAL Pulse Engine の強みは?
QDAL Pulse Engine の強みは何ですか?
- 1µや50nのパルスを出すことができ、さらに高出力でドライブできる。
- パルス発生だけでなく計測システムとして提供が可能。
- 対象デバイスに関しても様々なパッケージに対し通電が可能です。
- 計測のバリエーション:I-L測定(電流、電圧、光)だけでなく、波長測定やFFP測定、NFP測定といったLD検査に関して上記パルスで実装できる事。
- これらを自動検査装置化できること。
強みのまとめとなります。DAL Pulse の強みとして、まず超短パルスでデバイスを駆動でき、高出力の通電が可能である点です。さらに、通電だけでなく、測定も可能な計測システムとして提供が可能です。また、デバイスの多様なパッケージ形態においてパルス通電・測定が可能です。特に、Chipデバイスに対し50nsecのパルスで通電計測できるメーカーは少ないと思っております。
以上の通電・計測を応用しスペクトラムアナライザや分光器を用いた波長測定や光形状を測定する FFP、NFPといった光学的な計測もパルスで実施できます。そして、これらの技術を搭載した自動検査装置もご提供可能です。
製品ラインナップ
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DALテスターユニット
ダイトロン株式会社
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チップテスタ(for LD Chip)
ダイトロン株式会社
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バーテスター(for LD Bar)
ダイトロン株式会社
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CANテスタ (for LD CAN)
ダイトロン株式会社
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LDセミオートバーテスター DBLT-1200M
ダイトロン株式会社
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短パルステスターユニット DAPT-2100
ダイトロン株式会社