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【技術コラム】赤外線受光モジュールとは?

赤外線モジュールとは?

目に見えない赤外線を感知して、電気信号に変換する電子部品になります。
人感センサー (自動照明、防犯カメラ) や、家電のリモコン受信機などに広く応用されています。「赤外線センサ」、「受光モジュール」などとも呼ばれます。
ここでは、身近な活用例として、リモコンの受信部として使用される場合について紹介していきます。

赤外線通信の仕組み

赤外線の高速点滅を利用してデータを送受信する近距離無線技術になります。送信側は赤外線LEDの「点灯」、「消灯」を繰り返すことによって命令を送信します。受信側は、その「点灯」、「消灯」を、受光素子で読み取ることで命令を受信します。

さらにリモコンなどから送信される赤外線信号には、メーカーや機器ごとに厳密なフォーマット (信号形式) があります。主に 「リーダー部 (開始)」、「データ部」、「トレーラー部 (終了)」で構成され、NEC、家電製品協会 (家製協)、SONYなどの方式があります。

一例として家製協フォーマットを以下に紹介します。

1フレームはリーダーで始まり、データ部 (カスタマコード、パリティ、データ)、トレーラで終了します。 信号の開始を示すリーダーは、ON期間が8T、OFF期間が4Tにります。
ON信号は38kHzでデューティー1/3 の点滅信号です。

データ部について、信号”0”はONを1T期間の後OFFを1T期間で構成し、信号“1” はONを1T期間の後OFFを3T期間で構成します。 16ビットのカスタマーコードはメーカー固有の識別子で、他メーカー機器との誤動作防止用、続いて4ビットのパリティになります。それらに続くデータはメーカーごとに決まっております。

某機器のデータを例として上に記載します。カスタマーコードを含めて6バイトで構成され1B~4Bは固定、5Bはリモコンボタンごとに異なるコード例えば、(BS)1の場合はコード:a0 のような構成です。

続いてON期間が1T、OFF期間が8ms以上のトレーラを設けて1フレームが終了となります。 

赤外線LEDが点灯している区間では、サブキャリア38kHzの周波数で点滅させる必要があります。

赤外線の波長の光は特別なものでなく、自然界にありふれたものです。太陽光や白熱電球から出ている赤外線と区別させるため、自然界には 存在しない38kHzで点滅する赤外線としています。これにより、受信側は38kHzの点滅信号のみ検知するように設計することで、周囲のノイズを無視でき ます。さらに、冷房をつけているときにテレビの操作をしたら暖房になったなどの、家電どうしの信号の混信も防いでおります。実際にはサブキャリア周波数はメーカーや機器ごとに異なっており、33kHz~50kHz程度の固定周波数となっております。

赤外線受光モジュール構造と動作例

受光モジュールは、リモコンからの赤外線信号を電気信号に変換するPD:フォトダイオード、微小な電流信号を電圧信号に変換・増幅するTIA:トランスインピーダンスアンプ、ゲイン調整するAGC:オートマチックゲインコントロール、38kHzの信号を通過させるBPF:バンドパスフィルター、変調信号をDCレベルに変換するDEM:復調回路 (デモジュレータ) から構成されています。

心臓部分であるAGC (Automatic Gain Control) について紹介します。周囲の明るさやリモコンとの距離に関わらず、安定して信号を受信する重要な役割を果たします。 主な動作として、太陽光やインバータ蛍光灯などの照明からのノイズが強い環境では受光感度を下げ、ノイズが少ない環境では感度を上げて出力レベルを一定に保ちます。
また、リモコンが遠い=信号弱い、リモコンが近い=信号強い場合でも、感度調整して出力の飽和や、出力レベルが低く認識できないことを防ぎます。 

家製協フォーマットの紹介で触れたように、赤外線リモコン信号は、赤外線LEDが点灯している時間:バースト時間(ON時間) と、消灯している時間:ギャップ時間(OFF時間)の組み合わせで構成されています。また、赤外線受光モジュールも製品ごとに許容できるバースト時間とギャップ時間のスペックがあります。某赤外線受光モジュールのスペックを以下に示します。

ON時間は200us~700us、OFF時間は300us以上設ける必要があります。
Tpause>30msのOFFで終端します。終端(長めのOFF時間)が無い場合、AGCのレベルセットができず誤動作する懸念があります。某赤外線受光モジュールのスペックが、先に紹介しました家製協フォーマットをカバーできているか確認してみます。

家製協フォーマットの変調単位はT=350us~500us、425us typです。
本受信モジュールのバースト長 (ON時間) は200us以上700us以下のスペックですので、家製協フォーマット425usを満足できます。ギャップ長 (OFF時間) は300us以上必要です。家製協フォーマットの425usを満たすようにギャップ長を設定すれば問題ありません。家製協フォーマットのトレーラは、ONが1TとOFFが8ms以上必要です。本受信モジュールではOFFが30ms以上なので、こちらも家製協フォーマットを満足できます。

AGCは入力された信号の長さがスペックを満たしているものかどうかを確認し、ノイズなどスペックを満たさないものは受け入れないなどの対処をしています。

赤外線受光モジュールの入出力波形の例を以下に示します。

黄色は出力波形 (Out端子からの出力)、青色はリモコンからの入力波形になります。
この赤外線受光モジュールの回路ブロックは下になります。

リモコンからの入力信号 (青色) を PD:フォトダイオード で受けて、TIA、AGCなどを通過し、Out端子から出力 されます。 (黄色波形)
オープンコレクタにプルアップ抵抗が接続されている出力回路になりますので、入力の反転した形の出力になります。

スペックを超える異常信号が入力された場合の動作について確認します。青色はリモコンからの入力、黄色はOut端子からの出力になります。以下は、トレーラ (終了) のない入力を続けた場合です。

入力を受けて通常通り出力をしますが、長時間の入力を異常状態と判断して、約550ms後に 出力をOFFにしています。モジュール内部の動作的には、長時間の連続信号をAGCは異常信号 (外乱光や単なるノイズ) と判断してゲインを下げる制御をします。それにより出力はOFFになります。赤外線受光モジュール選定のさいは、バースト時間、ギャップ時間などの確認が重要です。また、上に示した例のような異常信号、ノイズなどが入力された場合の動作について、メーカーへ問い合わせ、またはサンプルを取得して実際に動作させて検証することが必要になります。

赤外線受光モジュールの周辺回路について

赤外線受信モジュールは高ゲインのアナログ部品です。高ゲインであるために、Vccリップルなどの電源ノイズの影響を十分に考慮しなければなりません。 電源ノイズにより、受信範囲が狭くなったり、受信データが破損したり、様々な影響を受ける場合があり電源ノイズからの保護が必要です。

上の図のようにRCフィルターがノイズ対策として有効です。受信モジュールのVccピンとGNDピンのできる限り近い 位置にRCフィルターを配置します。ピンから離れるとフィルター効果が低減しますので、近い位置に接続することが重要です。抵抗、コンデンサの値はメーカー推奨値を選定してください。また、Vccに供給する電源をスイッチング方式にする場合は、スイッチング周波数を キャリア周波数 (家製協の例では38kHz) から十分離して設計するようにしてください。

まとめ

赤外線受光モジュールとはどのようなものなのか、身近に使われている赤外線リモコンを例にして、基本的なところを解説しました。

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