フォトカプラとは?
絶縁した状態で入力から出力に信号を伝達する光半導体になります。
基本的な構造の汎用フォトカプラでは、入力側は発光ダイオード (LED)、出力側はフォトトランジスタの 構成で、入力端子はアノードとカソード、出力側端子はコレクタとエミッタになっています。
LEDが電気信号を光信号に変換しフォトトランジスタが光信号を電気信号に変換して信号の絶縁を行っています。
フォトカプラの内部構造は下図のようになっています。発光素子である発光ダイオードと受光素子であるフォトトランジスタを向かい合わせて封止した構造です。入出力間は光透過性がある半透明や透明の樹脂により物理的に絶縁されております。黒色の樹脂で外側を覆って、パッケージ全体として 外部光を遮断しております。
汎用フォトカプラの主な用途は?
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01 回路間の絶縁(アイソレーション)高電圧の負荷回路と低電圧の制御回路を分離でき、制御系を保護します。
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02 異なる電圧での信号伝達異なる電圧で安全に信号を伝達することができます。
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03 信号のノイズカット絶縁バリアにより、ノイズを伝えずに信号のみを伝達します。
モーター動作時に発生するノイズによるマイコンの誤動作を防止する接続例になります。LEDを流れる電流をフォワード電流 (IF)、フォトトランジスタに流れる電流をコレクタ電流 (IC) と呼びます。
スイッチング動作とは?
入力側のLEDへの通電・断電に合わせて、出力側のフォトトランジスタが光を受けて導通 (ON) または 遮断 (OFF) する、電気的に絶縁されたリレーのような動作です。高速で高信頼な絶縁スイッチとして、産業回路や通信回路のノイズ対策、回路分離に使われています。
プルアップ接続は、最も一般的な出力接続の方法です。
LEDがONになるとトランジスタが導通し、出力がOFF (0V付近) になります。
エミッタ側から出力信号を得る回路がプルダウン接続です。
LEDがONになるとトランジスタが導通し、出力がON (Vcc付近) になり、動作論理がプルアップ接続とは逆になります。後続の回路に合わせて、プルアップまたはプルダウンを選択します。
CTR:電流伝達率 (Current Transfer Ratio) について
CTR値を見れば、入力電流IFがどれくらい増幅されて出力電流ICになるかが予測できます。
ただし、CTRを使用する際は以下の4つの特徴を理解しておく必要があります。
特徴①:ばらつきがある
台湾エバーライト社のフォトカプラEL3H7のCTRスペックを上に示します。EL3H7に続く記号でCTRのランクを指定します。
末尾なしの場合はCTR=50~600%、末尾A(EL3H7A)の場合はCTR=80~160%になります。IFが不足すると十分なICが得られず回路が動作不良になる場合があるので、CTRの選定には注意が必要です。
特徴②:IF値によって変動する
VCE (コレクタ-エミッタ間電圧)=5VでIF=5mAのときのCTRを基準として、IF=1mAではCTRは基準の0.5倍に、IF=10mAでは1.2倍に変動します。
特徴③:周囲温度の影響を受ける
IF=5mAの場合、周囲=25℃のときのCTRを基準として、周囲温度=60℃ではCTRは0.8倍程度に変動します。
特徴④:経年劣化がある
10年=87,600時間経過時、IF=5mAでCTRは92.5%程度に、IF=10mAでは65%程度までCTRは低下します。
実際に流せる出力電流を求めてみる
上図のスペックを持つフォトカプラにおきまして実際に流せる出力電流を考えてみます。
推奨動作条件に従って、IF=16mAとします。
CTRからICを求めてみます。
CTR=50~150%なので
IC=IF x CTR=16mA x 50%~16mA x 150% = 8~24mA
CTRの条件:VCE=5V に注意します。
フォトカプラがONしてもVCE=5Vあることを意味しており、出力を”Low” (ほぼゼロ) にすることができません。ですので、VCE=0V付近のCTRがどうなっているのかをCTR-IF特性を確認します。
上のグラフからVCE=0.4Vに着目します。
IF=16mAとしましたので、CTR=80%になります。
従って
IC = CTR x IF = 0.8 x 16mA≒13mA
フォトカプラの出力を”Low”にするため、VCEを0.4Vまで下げるためには、IC=13mAが上限になります。
CTRの経年劣化を考慮します。
CTRの経年劣化をどこまで許容するかにつきましては、それぞれの設計基準などに従うと思われますが、ここでは初期CTRの50%を寿命といたします。
IC = 13mA x 0.5 = 6.5mA
CTRの経年劣化を考慮した場合、ICの上限は6.5mAとなり、先に求めました上限13mAを満たしておりますので、6.5mAを上限とします。
出力抵抗Rの値を求めます。これまで求めた結果から、出力のフォトトランジスタをIC=6.5mA@VCE=0.4Vで使うとして、抵抗Rを求めます。
IC=6.5mA時の実際のVCEを特性グラフから求めてみます。
下のグラフから、IF=15mAに着目します。
実際はIF=16mAとしましたが、特性の記載がありませんので、おおよそとして、IF=15mAとします。IC=6.5mAのとき、VCE=0.11V程度になります。
また、後段に負荷が接続される実回路において 仮に負荷からコレクタに流れ込む電流=1mAとして VCC=12Vとしますと、回路電圧および電流は以下のようになります。
従って、抵抗Rは以下のように求めることができます。
OFF時の出力電圧をチェックします。
フォトカプラはOFF状態でも、僅かながらコレクタ電流が流れます。これを暗電流と呼びます。
上記は、Ta=25℃、VCE=20Vの条件ですので、下の式を使って実使用時の暗電流を求めてみます。
フォトカプラを使用する周囲温度の上限を60℃としますと
フォトカプラがOFF時に3.79uAの暗電流が流れます。
R=2.15kΩの抵抗での電圧降下ΔVは
ΔV = 2.15kΩ x 3.79uA≒ 8.1mV
OFF時の抵抗の電圧降下は8.1mVであり、出力電圧にはほぼ影響を与えることはありません。
周囲温度が高い、出力の抵抗値が大きいなど 暗電流 (Iceo)による電圧降下が無視できない場合が ありますので、注意が必要になります。
(*)出典:
EL3H7-Gデータシート
https://jp.everlight.com/wp-content/plugins/ItemRelationship/product_files/pdf/EL3H7-G.pdf
まとめ
フォトカプラとはどのようなもので、どのようなときに使うのか、またスイッチング方式で使う場合の基本的な設計手順を解説しました。
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